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FXレバレッジ規制の衝撃

金融庁がFXの個人に対するレバレッジを10倍に引き下げる方針を検討

2017年9月、日本経済新聞電子版に金融庁がFXの個人に対するレバレッジを10倍に引き下げる考えがあることが報じられた。その後、金融庁や各金融機関などを交えた有識者会議が立ち上がり議論を重ねて来たが、遂に2018年4月29日、金融庁が本格的に10倍まで引き下げる検討に入ったようだ。

過去にもあったレバレッジ規制

FXトレーダー(個人)にとって、レバレッジ規制は過去にも苦い思い出がある。実はFXにおけるレバレッジ規制は初めてのことではない。
遡ること2010年、それまでレバレッジ100倍、200倍は当たり前、400倍を提供するFX会社も存在していた程レバレッジは高く提供されていた。このFXにとって大きな魅力となっていたレバレッジになぜメスが入れられたのか?
それは、レバレッジが高ければ高いほど少ない資金でFXが行えるため、短期間で一気に資産を増やすこともできた。普通の主婦がFXで数億円の利益を上げたなど、FXの話題は頻繁にメディアに取り上げられていた。しかしその反面、短期間で多額の損失を被るケースもあったため金融庁は投資家保護の観点よりレバレッジ規制に踏み切った。

まず第一段階として、2010年8月に50倍までの規制が入り、その後2011年8月から現在の最大レバレッジである25倍へと制限された。
当然のことながら、このレバレッジ規制によってFXの取引量は減少し、FX各社の収益が減少、経営を継続することが困難な会社も現れ、FX業界は淘汰されることとなった。
結果、経営基盤が健全なFX会社が生き残り、投資家にとってもハイレバによる大きな損失を計上するケースも少なくなり、FXに対する怪しいイメージが払拭され健全な金融商品として確率された経緯がある。
当時、FXトレーダー(個人)にとってはこのレバレッジ規制はマイナスの出来事となったが、レバレッジ25倍でも他の金融商品と比べたらまだまだ高い状況であることは否定できない。

FXの過去と重なる仮想通貨の今

FXがブームを築いてから現在に至るまでの経緯は、今の仮想通貨と重なるところが多くある。ブームが訪れ投資家が一気に増加し、法規制が追いつかない状況下で様々な問題が生じる。マウントゴックスやコインチェックが正に良い例である。
現在、仮想通貨に対しても急ピッチで法整備が実施されているが、仮想通貨よりも安全と言えるFXに対して更なるレバレッジ規制が入ることは、とても違和感を感じる。

果たしてトレーダー(個人)は素直に応じるのか?

レバレッジが25倍から10倍に下がった場合、今までレバレッジによって効率的な資産運用を行なってきたトレーダー(個人)は、今まで以上に証拠金が必要になり保有できるポジションが少なくなる。また、ポジションを保有している場合は、そのポジションに対する証拠金の積み増しが求められるため、追加資金を入金しなければロスカットになる可能性が出てくるだろう。
当然、2010年のようにFX会社の収益も減少となり、更なる淘汰が進む可能性がある。
また、現在もあるように海外の無登録業者にトレーダー(個人)が流出したり、法整備が追いついていない仮想通貨に流れることも考えられる。
結果的に、金融庁が求める投資家保護の観点と逆のことが発生することが考えられる。
FX業界にとって、金融庁の動向からは暫く目が離せないことになるだろう。