経済指標とは?
「経済指標」とは、各国の政府や中央省庁・中央銀行などが発表する、その国や地域の経済に関する統計です。
FXの取引においてなぜ経済指標が重要なのかというと、経済指標の発表と同時に、その発表内容の影響を受けて為替相場が変動することがよくあるからです。そのため、一歩進んだFX取引のためには、重要な経済指標の発表タイミングを把握しておき、取引に活かすことが有効です。
下記は、2019年3月28日発表の経済指標の例(一部)です。このように、各国が日々さまざまな経済指標を発表しています。
通貨 | 指標 |
---|---|
日本円 | 前週分対外対内証券売買契約等の状況(対内株式) |
NZドル | 3月NBNZ企業信頼感 |
ユーロ | 2月マネーサプライM3(前年同月比) |
南アフリカランド | 2月卸売物価指数(PPI)(前年同月比) |
米ドル | 前週分新規失業保険申請件数 |
メキシコペソ | メキシコ中銀、政策金利 |
重要な経済指標
①米国雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)
米国雇用統計は、米国の労働省が毎月第一金曜日(場合によっては第二金曜日)の午後9時30分(米国冬時間期間中は午後10時30分)に発表する経済指標です。
発表される内容は全米の失業率、非農業部門就業者数、小売業就業者数、週労働時間、平均時給など10数項目に及びます。
中でも注目度が高いのは「非農業部門就業者数」と「失業率」で、特に「非農業部門就業者数」はこの数字次第で相場が大きく動くこともあり、最大級の注目を集める指標と言えます。初心者は、まずはこの指標に注目してみましょう。
一般的には、「非農業部門就業者数」が増えたり、「失業率」が下がったりした場合、米国の経済状況が良くなったと見なすことができますが、FXではこれらの数値の事前予想との差、つまり「事前予想の値と比べて良かったか、悪かったか」という点が重要なポイントになります。
経済指標については、プロのアナリストたちがどんな値になるか、事前に予想を出しています。この予想値と実際の結果の数値との差次第で為替相場が動くため、予想値をチェックしておくことがポイントになります。
- 発表のタイミングは、原則毎月第一金曜日の午後9時30分
- 注目ポイントは「非農業部門就業者数」と「失業率」の2項目
②GDP(国内総生産)
GDP(国内総生産)は、「一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額」を表す指標です。ほとんどの国や地域で発表されており、その国の経済規模を示す指標と言えます。
GDPは四半期(3ヶ月)ごとに発表されますが、「速報値」「改定値」など、同じ国の同じ時期の数値が複数回発表されるのが特徴です。
- アメリカ、イギリス、ユーロ圏 … 速報値、改定値(1ヶ月後)、確報値(さらに1ヵ月後)の3回発表
- フランス、ドイツ … 速報値、確報値(約2~4週間後)の2回発表
- 日本 … 一次速報、二次速報(約1ヶ月後)の2回発表
最も注目されるのは最初に発表される速報値ですが、改定値や確報値が事前予想と大きく異なっていた場合にも、為替相場が動くことがあります。
- 四半期(3ヶ月)ごとに発表される(※カナダのみ毎月発表)
- 速報値が最も注目される
③小売売上高
小売売上高は、スーパーマーケットやコンビニ、百貨店など小売業者の売上高をまとめた指標です。
多くの国においてGDPの6割以上を個人消費が占めており、景気を判断する上では個人消費に注目することが欠かせません。その個人消費の動向を見極める上で重要視される指標が小売売上高です。
特に米国ではGDPの3分の2を個人消費が占め、米国の個人消費の動向は大きな注目を集めます。米国小売売上高は毎月中旬に発表されます。
- 毎月中旬に発表される(アメリカ)
- 消費動向を見極める上で注目される
④鉱工業生産
鉱工業生産はコンピューター、電化製品、自動車など工業品の生産高を示す指標で、企業の生産動向を反映することから、景気の判断において重要な指標の一つです。
企業の生産動向だけでなく、経済全体の動きを見極めるためにも活用されます。例えば、家電製品の生産高が増えていた場合は個人消費が伸びていると考えられ、オフィス機器の生産量が増えていた場合は企業が好調であると判断できます。前述の「小売売上高」と合わせて見ることで、消費動向をより深く分析することができます。
- 日本、米国、英国、ドイツ、フランス、ユーロ圏などで毎月発表
- 小売売上高と合わせて見ることで、消費動向のより深い分析が可能
⑤各種景況感指数
景況感指数とは、消費者やアナリストに現在の景気や今後の景気動向について聞き取り調査等を行い、その結果を指数化した指標です。
消費活動には消費者が「景気が良い」と感じているかどうかが大きく影響するため、実際の消費者の心理を反映した景況感指数は、今後の消費動向や景気を見極める上で非常に重要視されます。
景況感指数は、低い場合は景気が悪く消費者が消費活動を控えていることが読み取れ、高い場合は景気が良く、消費者の消費意欲も高まっていることが読み取れます。
景況感指数は各国で様々な種類のものが発表されていますが、特に注目度が高いのは次の4つです。
ZEW景況感指数
ドイツの民間調査会社ZEWが発表する、向こう半年間の景況感に関する指標です。数値がプラスの場合は景気が良くなる、マイナスの場合は景気が悪くなると見ているアナリストが多いことを意味します。
IFO景況感指数
ドイツの研究機関IFO研究所が発表する、ドイツ国内の約7,000社を対象に今後の景況感について調査した結果をまとめた指標です。
ドイツ経済はユーロ圏で最大規模を誇るため、ユーロ圏全体の経済を見極める上でも重視されています。毎月中旬に発表されます。
米国消費者信頼感指数
米国の民間調査機関であるカンファレンス・ボードが、毎月約5,000世帯の消費者に対して景況感に関するアンケート調査を行ってまとめた指標です。
1985年時点を100として指標化されており、数値が100未満であるか100以上であるかで、1985年よりも景況感が良いか悪いかが示されます。
ミシガン大消費者信頼感指数
米国ミシガン大学が実施する景況感調査をまとめた指数です。1966年時点を100として指標化されます。調査対象は500人と、米国消費者信頼感指数に比べて少ないものの、米国消費者信頼感指数に先行して発表されるため、より早く当該月の消費者マインドを見極める手がかりとして注目されます。
経済指標をチェックする方法
デモトレでは、デモトレードの画面から右にスワイプして経済指標をチェックすることができます。
予想値や数日先の発表予定も確認することができるので、これらの情報をデモトレードに活かすことで、より本格的なFXの練習ができます。